表面の現象に欺かれて知性が眠り、判断力がにぶり、良心がその自由を失ってしまうからだ。純真な青年ほど、そうした過失に陥りやすいのだから、よほどしっかりしてもらわなくてはならない。私がお別れするにあたって諸君に言い残すことは、ただこの一点だ。つまり美しい言葉や表面の現象に欺かれて良心を眠らせることがないように、たえず知性をみがき、判断力をたしかにして、ものごとの真相を見究《みきわ》めてもらいたい、というのが私の諸君に対する最後のお願いだ。」
先生は、そこで、しばらく、遠くの小さい生徒たちの方に眼をやっていたが、
「私が今言ったようなことは、下級生の諸君には十分にはわからなかったかも知れない。しかし諸君が白鳥会員であるかぎり、今すぐにはわからなくても、上級生との交わりを通しておいおいわかって来るだろう。上級生の諸君もどうかそのつもりで、これからの白鳥会を運営してもらいたい。お調子にのらないで、あくまでも冷静に、物ごとの真相を見究め、そこから行動の基準をさがし出す。そういう訓練は、これまでもお互いにやって来たことだが、それをつづけてさえもらえば、下級生の諸君にも、私がさっき言ったようなことが
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