において真実であればいい。いや、それより外に道はないのだ。諸君と私とは、方向のちがった真実を胸に抱いて、現にこうして照らしあっているし、将来も永く照しあうだろう。」
 先生は、そんなことを言ったあと、また眼をつぶった。話が終ったようには思えない。みんなの眼も、耳も、先生の顔に集中している。
 月がのぼりかけたらしく、ほのぼのとした明るさが、庭木をてらしはじめた。
 しばらくして先生はつづけた。
「諸君と一堂に集まる機会は、恐らくこれが最後だろう。しかし、諸君のうちの誰かとは、きっと再びどこかで会えるだろうと期待している。その時、諸君がどんなふうに成長しているかを見るのは、私にとって何よりの楽しみだ。だが、同時に、私には一つの大きな心配がある。それは時代の変化ということだ。諸君と再び会うのが、五年さきになるか、十年さきになるかわからないが、そのころには、時代は今とはずいぶんちがっているだろう。あるいは恐ろしいほどの変化を見せているかも知れない。しかもその変化は、私の考えるところでは、決していい方への変化ではないのだ。――」
 それまで眼を畳の一点におとしてじっときき入っていた次郎は、何か
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