ら、にらむように先生を見た。
「集まったために不幸を見る人が、君らの中から一人でも出てはならないんだ。」
朝倉先生の調子には、何か悲痛なものがあった。次郎はテーブルの一点に眼をすえて默りこんだ。その眼はしだいに乾いて来た。乾くにつれて、つめたい異様な光がその底から漂った。しばらくして、彼は、
「わかりました。」
と、庭ごしにじっと遠くの空を見たが、その口は固く食いしばっており、頬の筋肉はぴくぴくと動いていた。
「ばかばかしくても、ひかえるところはひかえていた方がいいんだよ。何しろ、当局の神経のとがりようはまるでヒステリーだからね。」
朝倉先生はなだめるように言ったが、
「しかし、こんな調子では、日本もいよいよけちくさくなるね。よほど君らにしっかりしてもらわなくちゃあ。」
次郎の食いしばった口は、いよいよ固くなるばかりだった。
「果物でも持って参りましょうね。」
さっきから心配そうに次郎の横顔をじっとのぞいていた奥さんは、気持をほぐすように立ち上って、廊下に出た。が、すぐ、
「あら、どなたかいらっしゃったようですわ。」
と、小走りに玄関の方に走って行った。
玄関からは間もな
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