間きりの総二階ですから、ばかに広いんです。しかし、天井も何もない物置みたいなところです。」
「天井なんか、どうだっていいよ、広くさえありゃあ。……このテーブルぐらいすえてもゆっくりなんだろう。」
「ええ、このぐらいのテーブルなら三つ位大丈夫です。しかし、みんなには不便でしょう。少し遠いんですから。」
「栴檀橋《せんだんばし》の近くなら、遠くったって知れたもんだ。学校からせいぜい三十分ぐらいじゃないかね。それにあの辺は空気もいいし、場所としてはここよりか却っていいだろう。」
 次郎にとっては、これは、しかし、かろがろしく返事の出来ることではなかった。白鳥会の文庫も、それが朝倉先生と直接に結びついていたればこそ意味があったのだ。それを自分の家に運んでみたところで、指導の中心を失った今となっては、大して用をなさないであろう。単に小さな図書館の役目をするだけのことなら、わざわざ遠い郊外まで行かなくても、もっと完全なのがこの町にもあるのだから。むろん白鳥会の命脈《めいみゃく》はたやしたくない。それには一定の集会所がほしいし、集会所を持つとすれば、この文庫も生きてくる。しかし、自分の家が果してその
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