えた。次郎は、少佐の顔は笑っている時よりも怒っている時の方がよほど好感がもてる、と思った。
「そうか、じゃ好きなようにせい。」
少佐は言いすてて窓をはなれた。床板をふむ靴音があらあらしくひびいて、少佐の姿が消えると、次郎は、すぐ、もとの白楊《ポプラ》の根元に向かって歩き出した。
彼は、しかし、そこに行きつくまえに、掲示台のまえがいやに静かになっているのに気がついて、思わずその方を見た。生徒たちの沢山の眼が、もうさっきから、じっと自分を見つめていたらしい。彼は思わず眼をそらした。が、すぐ立ちどまって、きっとその方を見かえした。沢山の眼のなかには、急いで彼の視線をさけたものもあった。が、多くの眼はやはり動かなかった。その中には馬田の眼もあった。その眼にはかすかな笑いさえ浮かんでいるように、次郎には思えたのである。
次郎はしばらくつっ立っていたが、間もなく思いきったように、掲示台に何かってまっすぐに歩き出した。
彼を見つめていた生徒たちは、すると何かにおどろいたように、一層眼を見はった。しかし、それはほんの一瞬だった。次の瞬間からは、彼らの視線は次第にそれ出し、次郎が彼らの群から十歩
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