不正の泡でしかないからだ。不正の根元はべつにある。僕が僕の最大の敵として僕の怒りを集中するのは、その根元に向かってでなければならないのだ。
ではその根元は? それは、いうまでもなく、僕たちから朝倉先生を奪った権力だ。僕は僕の最大の敵をこの権力に見出す。僕は或は一生を通じてこの敵と戦わなければならないかも知れない。なぜなら、この権力は僕たちの学園において不正を仂いただけでなく、日本の民族に対して不正を仂き、そして将来も永く仂こうとしているからだ。
だが、僕にはもう一つ選ばなければならない怒りの焦点《しょうてん》がある。それは前者ほど大きな、そして永久な敵ではないかも知れない。しかし、僕の現在の生活にとっては、決して単なる不正の泡として見すごすことの出来ない敵である。それは馬田だ。僕は彼を僕の敵として選ぶことについて、ある躊躇《ちゅうちょ》を感じないではない。しかし、今はその感情をぬきにして、彼を敵にするよりほかはない。それは、現在僕の身辺にまきちらされている不正の泡は、ほとんどすべて彼から出ているからだ。
僕は僕の敵をこの二つの外に選んでもならないし、そのうちの一つを敵から省《はぶ
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