、誰にも弁解一つせず、新賀や梅本がそんな噂を打消すために骨を折っているときいた時にも、彼の方から、放っといてくれるように頼んだぐらいであった。
事件が片づいてから、彼は毎日時間どおりに登校し、時間どおりに家にかえった。校内ではいつも沈默がちであり、孤独であった。帰り途には、きまって朝倉先生をたずねてみたいという衝動に駆《か》られたが、それが先生の立場をわるくすることになりはしないかと気づかって、いつも自制した。そして、家に帰るとすぐ、畑や鶏舎の手伝いをやり、夜は、しばらくほってあった学課の勉強や、その他の読書に専念した。
「泰山鳴動して鼠一疋も出なかったね。」――ある日、彼は俊三にそんなふうにひやかされた。
「仕方がないよ。」
「ずいぶん評判がわるいね。」
「僕がかい。」
「そうさ、いろんなこと言っているぜ。」
「ふん……」
「知ってる?」
「知ってるさ。」
「何でも?」
「知ってるよ、何でも。」
「だって恋人があるってことまで言っているんだぜ。多分道江さんのことだろうと思うんだが。」
「ふん……」
次郎は顔を赤くしながらも、軽蔑するように言った。
「それも知っていたんかい。」
「
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