一派に言わせると、
「少数の父兄が県庁に呼び出されたということは、すでに少数の生徒が犠牲者に予定されているということを意味する。だから、一日も早く、全校生徒で責任を負うような態勢をととのえなければならない。」
というのであった。これに対し、次郎はきっとなって言った。
「われわれは、たった今、血書撤回を否決したばかりではないか。血書を撤回しないかぎり、ストライキをやらないというわれわれの約束は、決して消滅してはいないはずだ。」
言ってしまって、彼自身、何か詭弁《きべん》を弄したような気がして、あぶなく苦笑するところだった。しかし相手はそれでわけなく沈默してしまい、その代りに生徒大会の問題をもち出した。その理由とするところは、「とにかく今度の問題は、もう校友会の委員だけできめるには、あまりにも大きすぎる。こうした問題について、一度も生徒大会を開かないのは不都合だ。」
という、ごくぼんやりしたことだった。しかし、その底意が、生徒大会の興奮した空気をストライキに導こうとするにあったことは、明らかであった。それに対しても、次郎は、
「そんなことは有害無益だ。」
と、言って正面から反対した
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