方がない。みんなに気狂いあつかいにされるだけだ。」
「君自身でも僕を気狂いあつかいにするのか。」
「するよ。」
 新賀はまた笑った。すると、次郎はそっぽを向きながら、
「ふん。君は軍人志望だからね。」
「おい!」新賀は顔を真赤にして、
「そんなことを言うのは侮辱だぜ。」
「侮辱に値するものは遠慮なく侮辱するし、攻撃に値するものは堂々と攻撃するさ。僕はもうそうきめたんだ。」
 次郎は、しかし、何か苦しそうだった。彼は新賀から眼をそらして梅本を見たが、梅本の眼がじっと自分を見つめているのにでっくわすと、急にまた熊笹の上に仰向けにひっくりかえり、大空に向ってふうと大きな息を吐いた。
「君、そんなことを言って朝倉先生にすまないとは思わないのか。それでは白鳥会の精神はどうなるんだ。」
 梅本が泣くように言った。次郎は眼をつぶって答えない。が、しばらして、
「すまない気もするよ。しかし、戦いはやはり必要だ。戦わなければ朝倉先生の抱《いだ》いていられる信念や思想も護れないからね。そして戦う以上はストライキぐらいやってもいいように思うんだ。朝倉先生は、右翼の暴力に対してストライキを左翼の暴力だと言って
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