ら声をはりあげて校歌をうたい出していた。
七 父兄会
生徒たちが、学校で、多少劇的ではあるが、この上もなく無作法な会合をやっていたのとほとんど同じ時刻に、すぐ隣りの県庁の二階の一室では、大人たちがおたがいに相手の肚をさぐりあいながら、表面は至極礼儀正しい物の言い方で、生徒たちのことについて「懇談」を重ねていたのだった。
この席につらなったのは、学校関係の県庁の役人数名、花山校長、それに二十数名の父兄たちであったが、そのほかに、警察と憲兵隊のかただといって特別に紹介された私服の人が二人、県庁の役人たちのうしろに、始終さぐるような眼をして陣取っていた。
主催者は、実際はとにかくとして、名目上は花山校長だった。そのあいさつによると、本来なら五年全部の父兄に学校に集まってもらわねばならないところだが、それではかえって生徒を刺戟する恐れもあり、結果が面白くないと思ったので、県当局のご好意に甘えてこの一室を拝借し、一先ずごく少数の父兄だけに集まってもらって、内密に懇談することにしたというのである。
校長のあいさつが終ると、すぐ、一父兄から、今日集まった父兄はどういう標準によって
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