ように、校訓の大慈悲の精神を僕たちに説かれたんです。」
西山教頭はにがい顔をしている。すると曾根少佐がいかにも大ぎょうに、
「そうだ、その慈悲だ。大慈悲のためには、仏様でも、剣をふるわれるんだ。君はお不動さんの像を見たことがあるだろう。」
次郎は、しばらく曾根少佐の顔を見つめていたが、吐き出すように言った。
「先生のお考えはもうわかっています。僕は西山先生におたずねしているんです。」
「もうよせ。」
と、この時新賀がだしぬけに立ち上って、次郎のまえに立ちふさがるようにしながら、その両肩に手をかけた。そして、座長席の田上をふりかえり、
「田上、きょうはもう閉会にした方がいいんじゃないか。……どうだ、諸君、それがいいだろう。」
「賛成」とさけぶ声が四五ヵ所からきこえた。田上はすぐ閉会を宣した。みんなは、教壇の上で顔を見合わせている西山教頭と曾根少佐を残して、ぞろぞろと立ち上った。
次郎はもうその時には机の上に顔をふせて泣いていたが、新賀と梅本とが、両側から抱くようにして彼を室外につれ出した。
階段から下の廊下にかけて、生徒たちは、いつの間にかどっどっと歩調をそろえて歩きながら、ど
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