の講演でもやるような調子で、以上のような意味の事を述べたが、一度も「朝倉先生」という言葉をつかわないで朝倉先生の問題にふれようとするところに、その苦心があったらしく思われた。そして最後にこんなことを言って腰をおろした。
「今言ったような根本的なことは、実は校長先生から、もうとうに君ら全部に対してお話があっているのが当然だと思うが、残念ながら、これまでにそんな機会がなかったらしいので、念のため私から話した次第だ。とにかく、時代ということを忘れないで、十分思慮ある行動に出てもらいたい。とりわけ軍人志望の諸君はよほど自重して、一言一行をつつしまないと、折角の志望が駄目になるかも知れない。このことについては、あとで曾根少佐からもお話し下さるだろうと思うが、特に留意を促しておきたい。」
 西山教頭が腰をおろすと、曾根少佐がすぐそのあとをうけて言った。
「根本的なことは、今、西山先生の言われたことでつきていると思うから、自分としては、もう何も言うことはない。ただ、君らの参考のために打明け話をすると、実は自分はこの三四日非常に立場に困っているんだ。というのは、自分は本校に配属されている以上、むろん本
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