級生の一人として君に忠告する。いや、お願いする、どうか約束を守ってくれたまえ。君自身の名誉のために、そして僕たちの尊敬する朝倉先生の名誉のために、いや、朝倉先生がいつも僕たちに言われた人間としての正しさを守るために、僕は心から君にそれをお願いしたいのだ。」
次郎は、そう言いながら一心に馬田の顔の動きを見つめていた。しかし彼の気持は、彼の言葉が終る少しまえ頃から、廊下にいた生徒たちのざわめきによっていくぶんかきみだされがちであった。しかもそのざわめきは、これまでとはちがって、彼の言葉に対する反応からではなく、生徒たちの顔の動きから判断すると、廊下の、教室からは全く見えないところにその原因があるらしかった。それが一層彼の気持をかきみだしていたのである。
馬田も同様であった。彼ははじめのうち、次郎の言葉に対して非常に複雑な反応を示していたが、廊下のざわめきに気がつくと、とかくその方に気をとられがちになった。そして次郎の最後に言った言葉も、次郎が期待したほどには強く彼の心にひびかなかったらしいのである。
ざわめきの原因は、次郎の言葉が終ると、すぐわかった。
「道をあけろ。」
そんな声が
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