るまいね。」
 今の場合、馬田にとって、これほど皮肉な質問はなかった。そうだと答えても、そうでないと答えても自分の立場がなくなるような気がするのだった。彼は答えなかった。答える代りに、両腕を組み、うそぶくように天井を見た。
「僕は、君が答えたくない気持もよくわかる。」
 と、次郎は少し声をおとして、
「だから、強いて答えを求めようとは思わない。しかし、君は恐らく、脅迫されて血判をしたなどとは絶対に言いたくないだろう。僕自身としても、君の血判が君の自由な意志でおされたものだと信じたいんだ。そう信ずることが君の名誉でもあるし、僕もそれだけ責任がかるくなるわけだからね。だが、それならそれで、その時の君の血判の意味をあくまで尊重してもらいたいんだ。今になって、血書に一応の敬意を表するための血判だったなどと、いい加減なことを言うのは、断じて君の名誉ではあるまい。もし君が脅迫されて約束したというのなら仕方がない。またもし、その約束が正しくない約束だったとするなら、それも仕方がない。しかし、もしそうでなかったら、男子が一旦血をもって結んだ約束だ、あくまでそれを守りぬくのが君の名誉ではないかね。僕は同
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