で額をささえた。それはいつもにない彼の姿勢だった。
次郎は、そのあと、また馬田の方に向きなおって何か言い出しそうなふうだったが、しばらく考えたあと、思いかえしたように廊下に背を向け、馬田に対したのとはまるでちがった、しみじみとした調子で言った。
「僕は諸君にあやまらなければならないことがある。僕は、やっと、今それに気がついたんだ。」
いくらかざわつきかけていた空気が、それで、またしずかになった。
「僕たちは、いま、ストライキをやるかやらんかという問題で争っている。しかし、考えてみると、これほど無意味な争いはない。この無意味な争いの原因は――」
言いかけると、廊下の方から誰かがまた叫んだ。
「無意味とは何だ。」
次郎はすこし顔をねじ向けて、
「朝倉先生の留任とストライキとは全く無関係だという意味だ。」
「もっとはっきり言え。ストライキをやっても駄目だというのか。」
「むろんそうだ。」
「やってみないで、どうしてそれがわかるんだ。」
「朝倉先生の人格がわかれば、それもわかる。先生は、――」
と、次郎は顔を正面にもどし、
「実は、われわれの願書が県庁でききとどけられても、留任する意
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