かし、県当局ではまだ考慮中だと答えるだけで、一向要領を得なかった。
 田上が、
「では、われわれも校長のお伴をして、われわれの気持を直接知事さんにお話ししたいと思いますが、どうでしょう。」
 と言うと、校長は、例のとおり鼻を額の方に移動させ、――もっとも、これは梅本がよくよく観察したところによると、鼻のつけ根に急に横皺がより、鼻翼《びよく》がつり上り気味にふくらむだけのことだったが――手をやたらに横にふって答えた。
「そんな非常識なことが出来るものではない。校長と生徒がいっしょになって知事閣下におねがいするなんて、そんなばかなことをどうして思いつくんだ。第一、生徒がそんなことを考えているということが、知事閣下のお耳にはいったら、もうそれだけで何もかもぶちこわしになってしまうじゃないか。」
「じゃあ、僕たちだけで県庁に行きます。」
 と、新賀がいつものぶっきらぼうな調子で言うと、どうしたわけか、今度はいやに落ついた、いくぶんあざ笑うような顔付をして答えた。
「知事閣下が君たちにお会い下さると思うのか。……まあ、ためしにお訪ねしてみるがいい。」
 しかし、何よりも彼らの反感をそそったのは、
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