彼らと校長との会見がはじまると、用もないのに、いつも西山教頭がのそのそ校長室にはいって来て、壁ぎわの長椅子に腰をおろすことだった。
 西山教頭は古い型の英語の先生でevilという字をエヴィルと読んで、若い英語の先生たちに蔭では「エヴィルさん」と呼ばれているほど発音の誤りが多い。それにも拘らず、訳解の方では文法がらめでびしびし生徒をいためつけるし、万事に規則ずくめで冷酷なところがあり、生徒たちには非常にきらわれている。その先生が三角形の瞼の奥にいたちのような小さい眼玉を光らせ、会見の様子を見張っているのだから、不愉快この上なしである。
 しかし西山教頭は、単にはたで見張っているというだけでなく、しばしば自分でも口をきいた。大ていは校長が返事にまごついている時だったが、たまには、校長の言葉を途中でさえぎったり、訂正したりすることもあった。それは、校長のうしろ楯となって、その立場を擁護《ようご》するためのようにも思えたが、また、あべこべに、生徒たちのまえで校長にけちをつけているようにも思えた。このことについては、校長との会見の模様をいつもあまり話したがらない平尾でさえ、報告会の時にかなり烈し
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