ないわ。」
「どうしてです。」
次郎は、むきになった。敏子は笑って、
「どうしてだか、あたしにもわからないわ。だけど、世間は、いたずらをした男よりか、いたずらをされた女の方に、よけいにけちをつけたがるものなのよ。そんなことでお嫁にも行けないでいる人があるってこと、次郎さんはご存じない?」
次郎は、そんな実例があるかどうかはよく知らなかった。しかし、敏子の言っている意味はよくわかった。そして、そうであればあるほど、いよいよ馬田を許しておくのが不都合だという気がした。
「すると、馬田はこのままほっておくつもりですか。」
「こないだ、重田の父から、千ちゃんのお父さんに、気をつけていただくように、話してもらってはありますの。」
「しかし、そんなこと、何の役にも立たないじゃありませんか。きょうも平気で待伏せしていたっていうんだったら。」
「ええ。でも、そんなことよりほかに、どうにもしようがないわ。」
「しかし、馬田をどうもしないで、ただ逃げまわっていたんではだめですよ。」
次郎は、そう言って、視線を道江の方に転じながら、
「もし、馬田もまわり道したら、道江さんはどうする?」
「こまるわ、あ
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