が眉根をよせて、
「あたし、そんなこと出来ないわ。」
「どうして?」
「どうしてって、負けることわかっているじゃありませんか。男と女ですもの。」
「ばかだな、道江さんは。」
と、次郎はなげるように言ったが、
「僕、道江さんを、腕力で馬田に対抗させようなんて、そんなこと考えているんじゃないよ。」
「では、どうしたらいいの?」
次郎はそっぽを向いて答えなかった。彼女は、馬田に対して、純潔な処女としての烈しい憤りどころか、自分に侮辱を加えた当の相手としてさえ、さほどの憎しみを感じていないのではないか。もし感じているとすれば、そんなよそごとのような答えが出来るはずがない。そう考えると、道江が馬田を「千ちゃん」という親しげな名で呼んでいることまでが腹立たしくなって来た。
「そりゃあ、事をあら立てれば、いくらでも手はあると思うの。だけど、同じ村に住んでいては、そうもいかないし、……」
と、敏子は、ちょっと間をおいて、
「第一、道江だってそんなことをしては、かえって恥ずかしい思いをしなければならないでしょう。」
「道江さんには、ちっとも恥ずかしいことなんかないじゃありませんか。」
「そうはいか
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