》をくくったような調子で、応対《おうたい》していたが、やっと俊亮の鋒先《ほこさき》を感じたらしく、急にいずまいを直して、口ひげをひねりあげた。校長のピラミッド型の鼻と西山教頭の三角形の眼とに、それがある波動をつたえたことはいうまでもない。
 俊亮は、しかし、三人の様子には無頓着なように、
「それで、実は、私はこんなふうに考えたいのですが、まちがっていましょうか。次郎は、思慮はあるが、策がない。もし仰しゃるとおうに策があって思慮のない人間でしたら、どんな恥ずかしいことでもして、きょうの処分をまぬがれることが出来ただろう、とそう思うのですが。」
 三人の眼は俊亮の顔に釘づけにされた。
 俊亮は微笑してそれを見くらべている。
 しばらくして、曾根少佐が、まるで相手にならん、といわぬばかりの顔をして、眼を天井に向けた。同時に西山教頭が言った。
「あなたは、そんなことを言って、処分を収消させようとでもなさるおつもりですか。」
「とんでもない。」
 と、俊亮はふき出すように笑って、
「私は、次郎にあくまでも筋を通させたいとこそ思え、自分から先に立ってそんな下品な策を弄しようとは、夢にも考えていません。お言葉を承っただけでも恥ずかしい気がいたします。」
 西山教頭は顔を真赤にして曾根少佐を見た。曾根少佐は相変らず天井を向いたまま、眼をぱちぱちさせている。
「次郎は、これまで、一所懸命で筋をとおして来ましたし、これからもとおすだろうと思います。ですから――」
 と、俊亮は曾根少佐の横顔を見ながら、
「さきほどあなたは、次郎が心機一転するのをご期待下すったようですが、それは駄目でしょう。私としても、むろんそんなことがないように希望しているのです。今の信念と心境のままで突きすすんでさえもらえば、おそらく次郎は人間としてまちがいのない道を歩くことになるだろうと思います。ただ残念なのは、仰しゃるとおり気が強すぎて、つい長上に対して失礼な口のききかたをすることです。その点は本人にも十分申しきかせましょうし、諸先生方にも重々《じゅうじゅう》おわび申上げなければならないと存じています。」
 曾根少佐の眼が、その時天井をはなれて、まともに俊亮の顔にそそがれた。
「さきほどから默って承っていますと、――」
 と、少佐はすこしそり身になりながら、
「あなたは、次郎君が筋をとおすというのでご自慢のようで
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