。」といったようなことを大声でどなり、すぐ二人を平身低頭させたが、その時の感激は今に忘れられない。大沢のやったことも、それと同じではないか。自分の身をなげ出して不正を防ごうとしたことが何で悪いのだろう。次郎には、そんな気がしてならなかったのである。で、彼はいきなり先生にたずねた。
「大沢さんのやったこと、どうして悪いんですか。」
 先生は、しばらく返事をしないで、まじまじと次郎の顔を見ていたが、
「君には、ちょっとむずかしいかな。」
 と、またしばらく言葉を切って、
「君は、あの額の意味を考えてみたのかい。」
「考えてみました。しかし、わかんないです。」
「ふむ――じゃあ、今日はいい機会だから、ひととおり話しておこう。はじめての人はよくきいておくんだ。」
 そう言って、朝倉先生は説明をはじめた。しかし、その説明は、最初のうち、額に書いてある文字には少しもふれなかった。話は、先ず、先生がこのごろよく座談会などに出かけて行く近在の村の事から始まった。
 その村には、三十台ぐらいの若い人たちが、二十数名集まって、一つの団体を作り、いつも村のことを研究し、熱心に村生活の調和と革新とを図《はか》
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