みんなは、自分たちで、校庭を出た時のようにきちんと列を正し、しずかにそのあとについた。が、それで一丁ほども歩いたかと思うと、先生は、今度は、前を向いたまま、弁当をぶらさげていた左手を高くふりあげて言った。
「うむ、それでいい、もうそれでおしゃべりをはじめても構わん。ついでに列をくずすことも許してやろう。別れっ。みんな先生より先に行くんだ。いつまでも先生のあとにばかりついているような人間は偉くなれん。試験も落第だ。」
みんなは、いっせいにわっとわめいて、先生を半丁ほども追いぬいた。中には一丁以上も追いぬいたものがあった。次郎もみんなといっしょに先に出るには出たが、しかし、みんなのなかでは、彼が一番あとで、先生との距離は五間とははなれていなかった。彼は、みんなといっしょになってはしゃぐ気がしなかったのである。
おおかた十四五分間も、彼は誰とも口をきかないで歩いた。まだ芽をふかない道ばたの櫨《はぜ》の木から一羽の大きな鴉《からす》が、溜池の向こうの麦畑に舞いおりて、首をかしげながらこちらを見ているのが、妙に彼の心をひいた。彼は、その鴉を見た眼で、ひょいとうしろをふりかえって見た。すると、
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