祖母さんも、僕の言うとおりにならなきゃあならないことですよ。」
「まあ、まあ大変なことになったね。」
と、お祖母さんはお浜を見て、にこにこしながら、
「じゃあ、あたしもお浜のお伴《とも》をさしてもらいましょうかね。」
お浜は、もうその時、眼にいっぱい涙をためていたが、やにわに畳につっ伏して、
「みなさん、ありがとうございます。勿体のうございます。」
みんなは、それから、涼しいうちにというので、大急ぎで朝飯をすまし、支度をはじめた。俊亮は、その間に、店の者に命じて、蒲鉾《かまぼこ》だの、罐詰だの、パンだのを買い集めさせ、それをいくつにもわけて包ませた。ビールが何本か縄でしばられたのはいうまでもない。
「夕飯まえには帰って来るが、おひるは、何かですましておいてくれ。」
そう店の者に言って、みんなが家を出たのは九時近くだった。
お祖母さんのほかは、めいめい何か包をぶらさげていた。ビールは恭一と次郎の二人が捧につるしてかついだ。陽はもうかなり強く照りつけていたが、風があって、さほどの暑さでもなかった。みんなはいかにも楽しそうだった。お芳でさえいくぶんはしゃぎ気味だった。実際こんなこと
前へ
次へ
全305ページ中299ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
下村 湖人 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング