、僕のちっちゃい時、人間に好き嫌いがあっては偉くなれない、って言ったことがあるんだけど、僕、それが今までわかってなかったんだよ。」
「でも、坊ちゃんだけがお悪いんじゃありませんわ。坊ちゃんは何ていったって、子供ですもの。やっぱりお祖母さんやお母さんが……」
「乳母やは、駄目だなあ。まだあんなこと言ってる。乳母やは、僕がお祖母さんや母さんを嫌いになるのが好きなんかい。」
「そうじゃありませんけれど……」
「なら、よせよ。僕がお祖母さんや母さんが嫌いになったら、お祖母さんだって、僕を嫌いになるだろう?」
「…………」
お浜は深い吐息《といき》をした。
「おっかちゃん!」
と、その時、お鶴がだしぬけに声をかけた。
「駄目ね、おっかちゃんは。……あたしだって、次郎ちゃんの言ってること、もうわかってるわよ。」
「乳母や、まだわかんないの――」
と、次郎はお浜の頸に手をかけて、
「お鶴だって、もう乳母やより偉いんだぜ。」
お浜は、もう一度軽い吐息をした。そして、
「ほんとうにね。」
と、しみじみと言ったが、
「だけど、それでいいんでしょう? 許して下さるでしょう。だって、誰よりもお偉い坊
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