いと思うよ。いつか、僕、乳母やにやった手紙に、人に可愛がられなくても、独りで立って行けるような強い人間になりたい、って書いたと思うんだけど、あれだけではいけないんだよ。ほんとうに強い人間になるには、人を可愛がらなくっちゃ駄目なんだよ。僕たちの校長先生は、いつもそう言ってるよ。」
「坊ちゃんは、まあ、何てお偉くおなりでしょう。」
お浜は、またきつく次郎を抱きしめた。次郎は抱きしめられながら、
「乳母やよりも、だから、僕、偉いんだろう。」
「ええ、ええ、……」
「父さんが僕を偉いって言ったの、うそじゃないんだろう。恭ちゃんが僕に負けたって言ったのも。」
「ええ、ええ、……乳母やはほんとうに駄目でしたわねえ、さっきはあんなこと言って。……あやまりますわ。ほんとうにあやまりますわ。そして、これから、坊ちゃんにお手紙でいろんなことを教えていただきますわ。……でも――」
と、次郎を抱いていた腕を、少しゆるめて、ひとり言《ごと》のように、
「こんなおやさしい坊ちゃんを、お祖母さんもお母さんも、どうしてこれまで、いじめてばかりいらっしたんでしょうねえ。」
「僕、わるかったからさ。正木のお祖父さんが
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