嫌のいい顔をして言った。
「それがいい。狭いのも、かえって昔を思い出していいだろう。校番室だって、そう広い方でもなかったからね。」
と、俊亮が笑った。
お浜も、やっと笑顔になった。
そのあと、お芳が、一人でこそこそと夜具をそろえて、それを階段の方に運びだした。それに気づくと、次郎がすぐ立って行き、階段のところでそれを受取って、二階に運んだ。
二人はべつに口をききあわなかった。次郎は、しかし、妙に心がおどるような気持だった。それはお浜と二階に寝るようになったからばかりではなかったらしい。
「まあ、すみません。あたしたちの夜具まで、坊ちゃんに運んでいただいて。」
次郎が夜具を運び終ったころ、お浜が二階にあがって来て、言った。お鶴もそのあとについて来ていた。
六畳の蚊帳の中に、三人の夜具を入れるのは、かなり無理だった。それでも、どうなり蚊がはいらないだけの工面をして、三人は、はしゃいだ笑い声を立てながら、もう一度、階下におりた。
みんなが床についたのは、十一時ごろだった、二階では、お浜がまん中に、その右に次郎、左にお鶴が寝た。さほど寒い夜でもなかったので、寝てみると案外楽だった
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