色の浅黒い、やや面長の、髯のない人だった。眼がすきとおるように澄んで、よく光っていた。年は権田原先生より少し若いくらいだった。
「だが、本田、――」
 と、先生は言いかけたが、ちょっと思案して、
「まあ、しかし、室崎の方からきこう。どうだ、君の気持は?」
 室崎は、ただうなだれていた。先生は、あわれむように彼を見ながら、
「正しい人間の強さというものが、今日こそしみじみわかったろう、いい教訓だ。本田を下級生だと思うな。先生にも出来ない教訓を君に与えてくれたんだ。逆怨《さかうら》みはそれこそ恥の上塗《うわぬり》だぞ。何を恥ずべきかがわかれば、君もほんとうの強い人間になれる。今のままだと、君ほど弱い人間は恐らくないだろう。私は、はっきりそれを言っておく。いいか。室崎。」
 朝倉先生は、そう言って、室時の首がさかさまになるほど垂れているのを、じっと見つめ、
「およそ何が恥ずかしいと言っても、無慈悲なことをするほど恥ずかしいことはないぞ。無慈悲な人間は、強いように見えて、実は一番弱いものなんだ。私は、君らが何の理由で喧嘩をやり出したかは知らん。また、このまま無事に治りさえすれば、強いて知ろうと
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