によって、お浜の自分に対する愛情を十分に味わいながらも、すでに一段と高いところに立って、その中の文句の意味を読もうとする気持になっていた。それはちょうど、多くの大学生が故郷の母から来る訓戒の手紙を読む時の気持と、同じようなものであったらしい。
(「一番」――「偉い人」――乳母やのおきまり文句はいつもこれだ。乳母やは、しかし、何がほんとうに偉いのかわかっているのだろうか。)
彼はそんなふうに思った。また、お芳との関係についても、乳母やはいつまで自分を子供だと思っているんだろう、という気がしていた。尤も、この気持のなかには、何かしら、まだ割りきれないものが残っていた。ゆさぶると、底から、にがいものが浮いて来そうな気さえした。「一番」や「偉い人」を微笑をもって読んで行く彼も、「今度の母さん」のくだりになると、だから、いくぶん顔がひきしまって来たのである。
さて、七月になって、お浜から、俊亮にあてて一通の葉書が来た。
俊亮あてのお浜の便りは、全く珍しいことだった。文字も、いつもとちがって、誰か相当の人に頼んで書いてもらったものらしかった。それには、四角ばった時候の挨拶のあとに、次のような
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