はまたすぐ二階に行ったが、次郎は机に頬杖をついて、何かじっと考えこんだ。その様子を見ていた恭一は、しばらくして言った。
「次郎ちゃん、大沢君って、偉い人だと思わない?」
「思うよ。だけど年とっているなあ。」
「中学校にはいる前に、三年も工場で仂いていたんだよ。」
「ふうむ、そうか。」
「だから、よけい偉いんだよ。」
 次郎の頭には、一年おくれて中学校にはいった自分のことが、自然に浮かんで来た。が、彼の考えは、すぐまたもとにもどっていった。
(自分は、大沢に、心にもない偉がりを言ったつもりは少しもなかった。しかし、自分の言ったことに、ほんとうに自信があったかというと、そうでもなかったようだ。)
 彼は何だかそんな気がして、不安だった。しかし、一方では、大沢に励ましてもらったことがうれしくてならなかった。そして、
(これからやりさえすればいいんだ。それで偉がりを言ったことには決してならないんだ。)
 と、自分で自分を励まし、どうなり気持を落ちつけることが出来た。
 二人は、それからも、しばらくは大沢の噂をした。次郎には、「親爺」という綽名が、いかにも大沢にぴったりしているように思えた。そし
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