そのためには、本田の弟のような、不正に屈しない魂をあくまでも擁護しなければならんのだ。問題は、四年生の権威がどうの、名誉がどうのというような、そんなけちけちしたことにあるんじゃない。大垣校長の謂《いわ》ゆる大慈悲の精神に生き、全校の正義を護ろうと言うんだ。おれの言ったことを誤解せんようにしてくれ。」
 大沢にしては、めずらしく激越な調子だった。みんなは鳴りをしずめて聴いていた。
 誰よりも感激したのは、恭一だった。正義感の鋭いわりに、気の弱い彼は、大沢のこの言葉で、力強い支柱を得たような気がした。彼は、何よりも、それを次郎のために喜んだ。そして、その日の授業が終るまでに、彼は、次郎の生い立ちや、彼自身の次郎についての考えなどを、何もかも、大沢に打ち明けた。
 大沢は、恭一の話をきいているうちに、いよいよ次郎に興味を覚えたらしかった。彼は最後の、授業が終ると、言った。
「さっそく会ってみたくなったね。今日、君の家に行ってもいいかい。」
「いいとも。今からいっしょに行こう。」
「よし行こう。しかし、僕らがバックする話は秘密だぜ。うっかりしゃべらんようにしてくれ。」
「うむ、わかってるよ。」
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