、自然その娘も気位が高くなるものでね。このお祖母さんは、お前たちのお母さんでどれほど苦労をしたか知れやしないよ。」
 これが、何かにつけ、お祖母さんの言いたがることだった。また、
「気がきつくて、素直でないところは、次郎がお母さんそっくりだよ。恭一なんかお母さんにはちっとも似ていないがね。」
 などとも言った。これには、はたで聞いていた恭一も、いやな顔をした。次郎はなおさらいやだった。自分が悪く言われるのは、慣れっこになっていて、もうさほどには腹も立たなかったが、彼にとっては神聖なものになりきっている母が少しでも傷つけられることは、何としてもたえがたいことだった。
 彼は、しかし歯噛みをしてそれをこらえた。こらえなければ、一層母が悪者になるような気がしたのである。
 彼が本田に行きたがらない理由は、正木一家にも、むろん、よく解っていた。で、正木のお祖父さんは、最近しばしば俊亮にそのことを話して、次郎が中学校へ入学したあとの始末について、十分考えてもらうことにした。しかし、俊亮はその話になると、いつもため息をつくだけだった。
 寄宿舎に入れる手もあり、また、少しは無理でも正木の家から自転
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