を見まわし、三人の子供が並んで坐っているのを見ては安心するらしかった。口はほとんど利かなかった。ただ俊亮に対して、
「こんなにたびたび店をおあけになっては、あとでおこまりではありません?」と言った。それをきくと俊亮は、周囲の静かな空気に不似合な声で、大きく笑った。それは誰の耳にもわざとらしく響いた。しかし、お民はそれに対しても寂《さび》しく笑ったきりだった。
その後二日間は同じような容態《ようだい》がつづいた。そのうちに遠方の親類も来るものは大てい来た。広い正木の家も、さすがに、病室以外はそれらの人たちでごったがえしだった。謙蔵はふだんの無口にも似ず、ほとんど自分一人で、食事や夜具のことなどを、てきぱきと指図していた。次郎は食事のたびごとにその様子を見て、いつもの謙蔵とはちがった人のように感じた。彼にとって、謙蔵はもう決して不愉快な存在ではなかった。相変らず無愛想であったが、無愛想なままに次郎には何となく頼もしく思えた。
母の枕元に坐って、その死を予想する次郎の気持には、恭一や俊三とは比較にならないほど深刻なものがあった。しかし一方では、彼は不思議なほど落ちついていた。それは永らく
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