人達に、こうおし默って見つめられていたのでは、手も足も出なかったのである。
 彼は生まれてはじめて、本当の行詰りを経験した。箱の中に入れられて、押詰められるような感じである。たまらなくくやしい。しかも、そのくやしさの奥から、わけのわからぬ恐怖が入道雲のように押し寄せて来る。反抗も出来ない。皮肉な態度には無論なれない。かといって、この場を逃げ出すきっかけも見つからない。彼は泣くより外に道がなかった。
 涙というものは、よかれあしかれ、大抵のことを結末に導いてくれるものである。次郎の涙は全くわけのわからぬ涙であったとしても、四人の心を動かすには十分であった。ことにこの場合は、次郎の涙は彼らによって待たれていたものだとも言えるのであった。
「泣くことなんか、ありゃしない。」
 お祖母さんが先ず口を切った。
 お祖父さんが、すぐそのあとについて、慰めるとも叱るともつかぬ口調で言った。
「ここにいたければ、いてもいい。じゃが、もっと素直な心になって貰わんと、みんなが困る。父さんもそれを心配していられるんじゃ。」
 それを聞くと、次郎の頭には、すぐ謙蔵の顔が閃めいた。彼だけがこの席をはずしているわ
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