したものが流れていて、それがそろそろと彼の心にせまって来るのだった。彼女は、時として、絵本や、美しい箱入の学用品などを買って、町はずれまで、彼の帰りを見送ってくれることがあったが、そんな時には、彼は、お浜に逢っているような感じにさえなるのだった。
 恭一や俊三に対する彼の気持は、別れる前から、いくらかずつよくなって来てはいたが、この頃、たまに逢うせいか、二人共、自然次郎本位に遊んでくれるので、そのたびごとに、親しみをまして来た。以前、彼が二人に対して抱いていた反抗心などは、もうこのごろでは全くなくなってしまった、三人一緒に町を歩いたりするのが、本田を訪ねる彼の楽しみの一つになって来たのである。
 だが、本田の家に対して彼が感ずる最も大きな魅力は、何といっても俊亮であった。俊亮は格別彼をちやほやするのでもなく、どうかすると、公園につれて行ってやる約束をしておきながら急用が出来たと言っては、彼をすっぽかしたりするようなこともあった。しかし、そんな時に、次郎は、淡い失望を感じこそすれ、欺かれたという気持になることなどは、一度だってなかった。彼は父に、「ほう、来たな。」と、ごくあっさり言葉をか
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