ノなる。
これを要するに、大師の時代は、東方亞細亞に密教の流布して居つた時代で、已に大唐天子の宮廷の宗教となつて居り、適當な傳法の法器を得れば、將さに、日本にも、渡來せんとする時であつた、大師の識見が、善く此の時代の趨勢を察せられて、大唐の長安に入り、大唐の天子の國師であり、帝師であつた不空三藏の密教を、其の付法の弟子惠果より傳へたのであるから、大師の密教は、日本の宮廷にも入るべきであつた、次第で、大師の一生は、よくこれを遂行して、遠くは、金剛智三藏不空三藏の法統たるに恥ちず、近くは、惠果阿闍梨の寄託に負かなかつた、吾輩は一は、大師の爲めに[#「大師の爲めに」に白丸傍点]、惠果のごとき明師を得たことを賀し[#「惠果のごとき明師を得たことを賀し」に白丸傍点]、一は惠果の爲めに[#「惠果の爲めに」に白丸傍点]、大師のごとき法器によりて[#「大師のごとき法器によりて」に白丸傍点]、密教を日出天子の朝廷に扶植し得て[#「密教を日出天子の朝廷に扶植し得て」に白丸傍点]、千百歳の下[#「千百歳の下」に白丸傍点]、なほ法燈の光を[#「法燈の光を」に白丸傍点]、扶桑の東に輝すことを得たのを賀する次第で
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