する、先方の話がついたとこで、兩親同志の間に意見の衝突することがある、一方は人物に重きを置き、一方は人物のことは意に介せないではないが、とかく財産に重きを置く、幸にして人物はしつかりして財産も相當あつて、兩親の間に意見が一致しても、娘さんの方では、きれいな容貌の方に重きをおいて居るから、所謂好男子、金と力はとかくないものであるから、茲に一葛藤が生ずる、これも治まつたところで今日の日本のやうに個人主義の色彩が大方の家庭には非常に濃厚になつて來たら、親族の方は苦情申し立てゝ結婚に反對をしても支障はないが古代印度乃至今日の日本の貴族又は上流階級に見るやうな家族主義が勢力を占めて居るやうな場合には、親族どもの意見も大に顧慮せねばならぬ、そこで親族の意見、父親の意見、母親の意見、娘の意見の四種の意見が、上流社會の家庭には結婚の場合に對立することになる、母親の意見が勝てば娘さんはいやでも、應でも、金持の家にゆく、時あつて嫁入りしたさきは、高利貸でも、際物師で家庭の教養もなく、品性の劣等なことも顧慮しないと云ふことになるから、嫁した本人は、自暴自棄で金錢を湯水のやうにつかひ、自分の勝手なことをする、
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