高原から出で、印度を蹂躙し、征服した歴史上の確證がないから、パツラ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]族の名稱がパルテイヤの名稱とは何等の關係ないと云ふが、アケメニード王朝以來、波斯民族の船舶は、西は阿弗利加の東岸から支那海に至るまで陸上に於ける王朝の興亡、隆替に煩はされずして活動を續けたことを思へば、印度の東海岸に通商立國の國是を以て國を立てたパツラ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]族を以て波斯民族の一支派でないとすることは、吾人の輙く承服出來ぬ所であります。
今日でも東は南方支那から西は阿弗利加に至るまで、或は水夫となり或は水先案内などを業務として海上生活をして居る、「ラスカール」(Lascar Lashkar)と云ふ種族があります。東洋から印度洋を通過して西洋に赴く船が港に寄ると、船に荷物を積み又は船から荷物を上げる人夫の中には、色こそ多少黒きやうだが、言葉から見ても又は容貌から見ても、深目隆準明かに波斯系のものであるのはこの「ラスカール」で、二千五百年の昔から「フヱニキヤ」人や「アラビア」人と共に波斯灣から出でて印度洋南海支那海の水上交通に貢獻した波斯民族の殘した種族で
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