御前に技を披露いたすのは末代までの名誉であるから、心して、充分にやるがよい。向う岸まで泳いで戻って参れ」
「行って戻ってくるのかね」
「そうだ」
「一息はダメだ」
「どうしてダメだ」
「あんた、一息で行って戻ってくるかね」
「一息で行って戻ってこいとは言わんぞ。なんべん息をしてもいい」
「そう何べんもできないもんだ。一々面倒だからね。向うの岸へついて、いっぺん息を吸う」
「勝手にやれ」
「コレコレ。衣服をぬがんのか」
「そういうわけには、いかんもんだて」
「どうして、いかん」
「はずかしいからね」
「なにが、はずかしい」
「フンドシを忘れてきた」
「水褌をかしてやるからハダカになれ。衣服のままでは手が思うようにならんぞ」
「手はいらないもんだ」
「特別の芸をせんでもよい。手も足も用いて、存分にやれ」
「そういうわけにはいかないもんだて。あんた、歩くときハダカにならないだろう」
「歩くのは、衣服のままで不自由はない」
「それみろ」
「なんだ」
「オレは歩くのだからね。手をバタバタやると、魚がにげてしもう」
「水の上を歩けるか」
「水の下を歩くんだ」
 カメはへそに手を当てる。キッと腹を押
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