に気づかなかったかと問うと夫人はビックリして、
「そうでしたわ。にわかに指定の日までが短くなったために、お金の工面に四苦八苦いたしまして、脅迫者宛てに日取りに間隔をおいて下さるようにと杉山さんから依頼の手紙をだしていただいたほどの私たちにとっては大問題でした。けれども、お願いの手紙を差上げても、日取りの間隔は長くはならず、返事もなかったのです」
そこで新十郎は小沼家へ赴いて政子に会って、杉山老女からの依頼状のことを訊くと、
「それは確かに受けとりました。またその依頼状によって脅迫がつづいて行われていると分ったので、手紙の束は単に紛失したのではなくて誰かに盗まれたのだということが確認されたのです。依頼状はたしか二度きました。そして私たちがチヂミ屋の寮へ家探しにでかけたのは依頼状を見たせいなのよ。盗まれた手紙を探すためです。二度目の時は兄が一人で寮へ捜査にでかけたようですが、盗まれた手紙は結局どこからも現れませんでした。当然だわ。チヂミ屋の寮を捜したって出てくる筈ないわ。なぜなら意外にも奇怪なことが起ってるのは、そこではないからです。小花さんはなぜ羽黒家に居るのでしょうね。そして、うちつ
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