秩父あたりでは一ノ宮を違うものに言い伝えられている。つまり違った神の系譜をもつ住民が住んでいたのだろう。しかし、こッち側の一ノ宮の所在はハッキリしていない。
このホンモノの一ノ宮と自称しているのがオーカミイナリであった。
郡内には諸村に金鑽神社があり、また北向明神というのが昔は五ツあったという。ほかに古社が多いが、広木村の※[#「髟のへん+瓦」、第4水準2−81−15]※[#「くさかんむり/(豕+生)」、第3水準1−91−25]神社というのが土着民の祖神のようにも考えられている。広木村は昔は弘紀とある。※[#「髟のへん+瓦」、第4水準2−81−15]※[#「くさかんむり/(豕+生)」、第3水準1−91−25]神社はミカ神社もしくはミカタマ神社と読むべきだということである。
オーカミイナリの説によると、カナサナ神社もミカ神社も北向明神も総て配下の神で、総本家はオーカミイナリの前身たる大加美神社である。大加美神社は大昔はミカ神社のある広木村にあった。いま、曝井《サラシイ》という古趾のあるのが大神社の跡である。万葉の古歌に現れる曝井がこれであるという村人の伝えはあるが、ここが大加美神社
前へ
次へ
全55ページ中22ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング