は、浅く錠を仕掛けても錠が外れずに蝶番いの方が外れて倒れる場合もあるという実験をしてみせればよろしいでしょう。その仕掛けはそうメンドウではありますまい。蝶番いの方にちょッと策を施せばよろしいでしょう。手の職に覚えの皆さんにヌカリはありますまい。それから、これは蛇足ですが、かの室内の人物は、夜中に来て夜中に立ち去る習慣だそうで、彼の人物の退去まであすこに近づかないことに致した方がなんとなくよろしいようです」
そして新十郎は一同に別れを告げた。
帰りの道々、花廼屋は、
「間のわるい時は仕方がないものだねえ。ちょッとひくと外れるように浅く仕掛けた錠が外れずに、蝶番いの方が外れるとは」
「浅く仕掛ける筈があるもんですか」
と、新十郎はふきだした。
「まさかその揚足をとられて犯人になるとは思わずに口がすべったのでしょう。内から扉をひらいて出てくる人がいないのだから浅く錠を仕掛ける必要はなかったのです。むしろ事実はアベコベに非常に頑丈な錠をしかける必要があったのですよ。なぜなら前夜から人と屍体が隠されていたのですから。そこにまもるべき秘密があるために、錠の仕掛をアベコベにウッカリ口走ったのか
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