計なことを考えちゃアいけないぞ」
こうトビの者に言い渡し、
「しかし、殺された者がないのに犯人ができちゃア困るが、またコマ五郎の奴め、なんだって自分で助けに飛びこむフリをしなかったのかねえ。気のきかねえ野郎だ」
「自分でとびこむと、山キの旦那でない人を連れて出なくッちゃアなりませんから。火消の親分が人を救いにとびこんで手ブラで生きて戻るわけに行きません。まして、恩義ある旦那ですし、自分で火をかけた仕事ですもの、旦那は覚悟の自殺だから諦めろ諦めろと云って、ヨボヨボの老師に飛びこみ役を引き受けてもらう必要があったのです」
そうであったか、という深い感動が溜息となって諸方から起った。
「コマ五郎を助けるためには、この建物を用いて、もう一度実験をやるとよろしいでしょう。警察の人々をまねいて今度は本当に火をかけて実験をやるのです。コマ五郎は訊問に答えて、扉の錠は内へチョットひくだけでクギが外れて落ちるほど浅く仕掛けておいたものだと申しました。ところが二枚の扉は錠が外れないために蝶番いが外れて倒れました。たしかにツジツマが合いません。そのために殺意ありと疑われたのです。そこでコマ五郎を助けるに
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