ていらッしゃい。なお、あなた方は自分の方法が失敗だった、そのために敵に裏をかかれたと思い当るたびに方法を改められたのですが、そのために却って大きな失敗をしていますが、これはお気づきになりますまい。それは今度いらッしゃるまでに私が調べておきましょう。では、三日後にお目にかかりましょうか」
 その三日後であった。重太郎と遠山が調べてきた十の答えはこうであった。
 一。三枝子が持ち去った手燭は仏壇にあった。仏間は由也の寝室と青磁や皿がわれていた座敷の中間である。
 二。貧乏徳利はエンマ堂の前にカラになってころがっていた。エンマ堂はハゲ蛸から由也の家へ行く道筋の墓地のはずれにあって、その堂内には二ヶ月前からひそかに一人の乞食が夜間の住居にしており、重太郎の巧みな方法で彼の口をわらせることに成功したが、二人はエンマ堂に腰かけて徳利の酒をのんでいたらしく、大雷雨になってから立去った。二人が去ると乞食はいそいで出てみたが、徳利は横にころがって、中味は殆ど残っておらず、二人の一方は甚しく酔っていた。
 三。その足跡の大小はオソノの記憶にはない。足跡の大小に気附かぬうちに真ッ先にふいたからである。
 四
前へ 次へ
全55ページ中39ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング