をゆだねられて、怪事件の解決にのりだすこととなったのである。

          ★

 本家の家族は八ヶ岳山麓へひきあげていた。学校へ行かねばならぬ光子も文彦も、喪のあけるまで、まだ当分は上京しない様子であった。東京に残った召使いは、故郷の村から連れてきた人たちではあったが、別館へ足ぶみしたことのない者ばかりで、彼らから多くのことを訊きだすことはできなかった。ともかく水彦一枝の父子や別荘居残り組の召使いから訊きだすことができたのは、きわめて空想的な多久家の相続問題や風守の病気についてのアウトラインにすぎなかった。
 新十郎はそれを整理して、風守の生母が自害したという風説がそれまでに知り得た最も重大な何かだと思った。
 新十郎は八ヶ岳山麓まであくまでつき従うという盤石の決意をくずしそうもない花廼屋《はなのや》と虎之介に、ちょッと淋しそうな顔をして、こう言った。
「八ヶ岳の麓の村では、多久家は神様ですよ。信仰深い村人から神様の秘密をききだすことができると思いますか。一人のこらず貝のように黙りこんでしまうでしょうよ。それでもこの旅行に興味がもてますか」
「アッハッハ。貝殻に喋らせるには、
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