。当夜お嬢さまがヤミヨセに出席なさったことは、ほかに見ている人がいて教えてくれたのです。山賀達也さんは、当夜列席していたのは自分一人で女の連れなどはなかったと大そうかばっていらッしゃるのですよ。それで、ヤミヨセ見物の御感想はいかがでしたか?」
「大そう面白く拝見いたしました。本当に食い殺されたと思いまして喜んでおりましたが、生き返ったのでガッカリいたしました。しかし結局あの結果になりましたから、天王会の隠し神は案外正直でございます。当家の庭で殺したのはズルイやり方ですが、生き返ったままノコノコ戻ってくるのに比べれば、結構なことで、不平ものべられませんね。天王会には散々迷惑した当家ですが、これで恨みがいくらか軽くなったように思われます」
「あの晩は何時ごろお帰りでしたか」
「ヤミヨセが終るとさッそく帰りました。門の前まで達也さんに送っていただきましたが、帰ってみると零時ちょッと過ぎていました」
「庭に物音をおききになりませんでしたか」
「疲れてグッスリねましたので、目がさめるまで何一つ覚えがありません」
 これも亦《また》荒ぶる神の親類筋のようなすさまじさ。神経が太いというのか、気象が荒
前へ 次へ
全48ページ中34ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング