音楽に合せてドッと津浪のように又山々のゆれるように無我境の踊りが起るのであるが、これは許されて信徒となった者のみが会得する果報な踊りと云われている。ソジンのうちはよくまちがえて、「パッとひらいた[#「た」に白丸傍点]天の花」というが、実は「パッとひらいて[#「て」に白丸傍点]天の花」このタとテの別が、ハッキリ分らなければ信徒にはなれない。又、その別が分るような現象があって、それを認知したもののみが信徒になれるという。そこで「ツレコミ」ということが起る。即ち、カケコミの儀式の末席に立会いを許された見物人のソジンの中から行事につれて会得する者が起り、自然にカケコンでしまうことを云うのであるが、カケコミの当人よりもツレコミの入信者がよい信者になれると云われている。
パッとひらいて、のテが大切。即ち何かをパッとひらいて天の花を見るという意味らしいから、さては股をパッとひらいて果報を得るという意味さ、なぞと口サガない俗人どもに云いふらされ、いかにもそうのような、助平な邪教視する向きが多かったが、カケコミの行事にはそのようなワイセツなものはなかった。
カケコミを成就すると、天がさけて虹がふる、
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