えられる。動機と云い、タバコ入れと云い、証拠がそろっているから、云い逃れはできません。主家に残ったのは病身のアヤ一人。番頭の修作を聟に直して、後とりに立てようということになるのは自然の勢い、修作はそこまで見越しておりました」
すでに観念した修作はふてぶてしい顔をあげて新十郎を見つめて、
「お察しの通りさ。しかし、私はもっと昔から、事を企んでいましたよ。お槙は芳男よりも先に私に色目をつかったのですが、私はそのときハッと胸にひらめいたことがあって、よしよし、オレがウンと云わなければ、あの色好みのお槙は自然芳男に手をだすだろう。姦夫姦婦をつくっておいて、藤兵衛を殺して罪をきせる。川木屋をオレが乗っ取ってやろうと、こう考えたのは一年半も昔の話でさアね。加助を追んだすぐらいはワケはない。五日の縁日に殺すのだって四日に考えついたわけじゃアありませんや。先月ちゃんと筋を立てて、一日から円朝の連続ものをききにいっていたのさ。四日に藤兵衛に叱られたのが、むしろ私の運のつき、あんなことがなければ、かえって私が疑られるようにはなりますまい。おまけに加助がよびつけられた一幕などが加わって、今から思えば、五日
前へ
次へ
全51ページ中48ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
坂口 安吾 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング