うらしい。すると、このカケガネを外からはずすのも、外からかけるのもワケはない。ハリガネを曲げたものかなんかで、戸の隙間から自由自在にかけも外しもできますよ」
新十郎はそう呟いて、現場をこまかく探索した。戸をあけると、四間にしきられていて、藤兵衛の居間へ行くに四畳ぐらいの寄りツキがあり、その隣に納戸があって、ここには仏壇だのクスダマだの、いつ用いたのか知れないが、よそなら使って捨てるものを、雑然とほうりこんである。もう一部屋は藤兵衛が寝所に使っているらしく、押入れがないから、フトンをたたんで部屋の隅につみあげてある。そのほかには何もない。掃除は毎日ていねいにやると見えて、よく行き届いているが、納戸と寝室に、ところどころ土が落ちている。
「どうも、誰かが忍びこんだ様子だねえ。オヤ、ここにも土が落ちている。土足であがってきたのかなア。それとも、フトコロへ下駄を入れてきたのかねえ。どうしても、庭から離れへあがって、土蔵へはいった者がいるよ。さて、庭をしらべてみよう」
新十郎はこういって庭へ下りたが、いろいろの跡があって、特に下駄や足跡を識別することはできない。土蔵の裏へまわると、曲りくねっ
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