味に、ちょッといたましい様子であった。新十郎はそれをいたわって、いいにくそうに、
「では、奥様、蓋をあけますが、よろしゅうございますか」
「どうぞ」
 釘をぬき、蓋をとりはらう。いろいろの詰め物もとり去り、死体の衣類もとりはらって、風巻先生は、目や、口や、傷口や、シサイに調べ終った。先生は新十郎をふりむき、
「一見して毒死の徴候歴然です。使用した毒物はわからないが、刀傷によって死んだものでないことは確かのようです」
「すると、加納さんが前へとんとんと泳がれて、胸をかきむしるようにしてしゃがみこむようになすったのは、刀傷によるのじゃなくて、毒物の作用によるのですね」
「まア、そうでしょう。脾腹へ小柄をうちこまれたときに、そんな泳ぐようなことをするのも妙でしょう。叫ぶとか、ふりむくとか、それとは多少ちがった反応がありそうなものだ」
「ヤ。ありがとうございます。おかげさまで事件の全貌がハッキリ致しましたようです。どうしても毒死でなければならないということ、小柄を刺しこんだのは毒死をごまかす手段に相違ないということは、昨夜から確信いたしておりました。毒死と知れては、犯人が邸内に居ることを見破ら
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