た。それを見ると、お梨江もポッとあからんだ。そこへ使者がきて、ただ今、風巻先生がおつきです、とつたえた。新十郎はキッと緊張して、
「さ、すべての謎がとける時が参りました。お嬢さまも一しょに広間へ参りましょう」
一同は五兵衛の遺体を安置した広間へ行った。親類縁者、五兵衛の世話になった者、多くの人がつめかけている。新十郎は風巻先生と挨拶を交してのち、
「それでは風巻先生に死体を見ていただきたいと存じますが」
風巻先生はヨーロッパで研究をつんで近代医術を身につけた西洋医学の大家であった。
新十郎は柩の蓋に手をかけたが、
「ヤ。これはどうしたことだろう。もう今から棺の蓋に釘をうちつけてあるが」
家令がすすみでて、
「ほかの場合とちがいまして、御変死のお顔に対面は御前の御名誉に傷をつけるようなもの、との奥様の御希望で、今朝、ごく近親者だけの対面をすませますと、蓋を密封いたしましてございます」
「風巻先生に調べていただく必要があるのですが、奥様のお許しを得て蓋をとっていただきたい。又、奥様にも立会っていただきたいものです」
家令はアツ子の居室へ行って、アツ子をつれてきた。アツ子はやつれ気
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